キャラ別元ネタ&考察まとめ

目次

静葉 / 穣子 / / / にとり / / 早苗 / 神奈子 / 諏訪子 / 衣玖 / 天子 / キスメ / ヤマメ / パルスィ / 勇儀 / さとり / お燐 / / こいし / 香霖 / 秘封倶楽部 / メリー / 阿求 / 三月精 / その他・総合


秋 静葉


秋 穣子

・『♪稲田姫様に叱られるから』
 日本の神の一柱『クシナダヒメ』女神の事。
 古事記では『櫛名田比売』、日本書紀では『奇稲田姫』と表記する。
 物語上ではスサノオのヤマタノオロチ退治の際に登場し、スサノオの妻となる。
 稲田の神であることから、豊穣の神のカテゴリーに入るのだろう。
 曲名では敬称付きで呼ばれている事から、
 豊穣の神の中でも位の高い神なのかもしれない。


鍵山 雛

・流し雛
 現在の『雛人形』の原型となったものの一つ。
 自身の身に付いた『穢れ』を祓う為に、身代わりである人形に穢れを移し、それを川に流す。
 ヒトガタなのは『類感呪術』の形式の典型的な例である。

・スカートのアップリケ
 『厄』という漢字を崩して意匠化したもの。
 勾玉の形にも見えるが、【まが】の音に『禍』の字を当てて、厄と関連付けた、という説も。

・『♪厄神様の通り道』
 『厄神』とは、主に人間に対し疫病や厄災を与える悪神の事。
 特定の場所に居つく存在ではなく、集落の外部からやって来る『行役神』である。
 つまり、適当に歩いていて、目に付いた所に厄をばら撒く様な存在に近い。
 従って厄神は道を歩いてやって来る神であり、
 その厄神の侵入を防ぐ為に集落の境の道端に祀られたのが『道祖神』である。


犬走 椛

・白狼天狗
 『木葉天狗【このはてんぐ】』の別称。
 永い年月を生きた狼や山犬などが天狗になった妖怪変化。
 別名『木っ端天狗』とも言い、天狗内での地位は低いらしい。

・大将棋
 将棋の一種。『平安大将棋』と『大将棋』とがある。
 縦横9×9マスで8種類の駒がある将棋とは違い、
 『平安大将棋』は縦横13マスで駒は13種類、『大将棋』は縦横15マスで駒は29種類もある。
 これより駒数が少ない『中将棋』が流行り、また大将棋は非常に時間が掛かる為、
 現在では廃れてしまっている。
 逆に言えば、幻想郷の妖怪にはうってつけの遊びなのだろう。


河城 にとり

・河童
 日本各地の伝承に登場する妖怪・未確認生物。
 亀の様な外見の者と、類人猿の様な外見の者とがいる。
 前者が、頭頂部に皿、亀の様な甲羅、両生類の様な皮膚という姿で、
 両腕が繋がっていたり、人間の尻小玉を取ったり、キュウリが好きだったり……
 という一般に知られている河童であろう。
 中国から伝わった妖怪を元とする説と、陰陽師・安倍清明の式神の人形を元とする説がある。
 また、河の神としての性格も持ち、民間信仰の水神と混同された。

・持ち物
 帽子の模様は、『尻小玉』だとする説。
 また、に≠ニりという名前から、数字の2だとする説。
 手に持っているのは、蒲?

・名前の由来
 河童の原型の一つとされる中国の河の神『河伯【かはく】』より、
 『伯』を訓読みで【しろ】と読み『城』の字を当てたのか。

・『♪芥川龍之介の河童 〜 Candid Friend』
 小説家・芥川龍之介の作品の一つ『河童』の事。
 河童独自の社会・文明を持っている事、姿を消す迷彩を持っている事、
 出会ってすぐに逃げる事、手に植物を持っている事など、
 似せた点は多い様に思われる。


射命丸 文

・『鴉天狗』
 そもそも「天狗」のルーツは中国の妖怪「天狗(テンコウ)」で、
 これは狸に似たような姿。
 日本に伝わり、平安時代には悪しき存在の成れの果てと見なされた。
 後に仏教の迦楼羅の姿を取り込んで鳥に似た邪妖とされてしまったのが鴉天狗。
 大天狗よりも格下の天狗とされている。

・「写メール」が「しゃめい(ま)る」となり、「射命丸」と漢字を当てた?

・「新聞屋」の略称「ブン屋」から、「文」の字を当てたのか。

・天狗が新聞を出すのは
 「天狗新聞」(神社や街路樹などに貼られる意味不明の文字と記号の書かれた瓦版のような紙、
 漂泊民や行者といった社会に属さない集団の連絡手段と思われる)
 から?

・『文々。』は「ブンブン丸」が元か。
 元プロ野球選手・池山隆寛の愛称。
 振っても当たらない → 鳴かず飛ばずの新聞、ということか?

・『モケーレムベンベ』
 アフリカにいるとされるUMAの一種。
 ゾウやサイや恐竜の生き残り説などが挙げられる、大型のUMAである。
 どこからどう見ても、小柄なレミリアと見間違う訳は無い。


東風谷 早苗

・風祝
 『祝【はふり】』とは、いわゆる神官や巫女の事。
 「神に祝詞【のりと】を捧げる人」の意。
 信濃国一ノ宮・諏訪大社では『大祝【おおはふり】』と呼び、
 上社では諏訪氏一族が、下社では金刺氏一族が代々『大祝』を務めてきた。
 『大祝』とは、その人物自体が神の宿る御神体であるとされ、
 現人神【あらびとがみ】として諏訪地方の信仰の対象となっていた。
 作中で使われる『風祝』とは、この『大祝』を元ネタとした造語であろう。
 また、後述するが、守矢の神社に居るという点から、
 守矢氏の『神長官』も混同されていると思われる。

・守矢
 諏訪地方には古代から続く自然霊信仰『ミシャグジ信仰』が存在しており、
 その神は『洩矢神【もれやがみ】』と呼ばれていた。
 そこに大和政権の影響が及び、諏訪の信仰も記紀神話に埋もれてしまいそうになるのだが、
 ミシャグジ信仰は諏訪大社の神事の根幹に消えることなく残っている。
 それを表すかのように、代々諏訪大社の神事は
 御神体にして現人神である『大祝【おおはふり】』上社の諏訪氏と下社の金刺氏、
 そして神事の運営を行う『神長官【じんちょうかん】』守矢氏が行っている。
 この『守矢氏』は『洩矢神』を祀る一族の末裔であり、
 従って諏訪の神事の運営は依然『洩矢神』を祀る神官一族により行われていると言う事になる。

・名前の由来
 神長官守矢家78代目現当主・守矢早苗氏が元か。
 存命中の実在の人物なので、くれぐれもご迷惑にならない様に。


八坂 神奈子

・元ネタ
 諏訪地方に大和の神が降臨する神話の内容は、記紀神話と諏訪の神話で差はあれど
 どちらも『タケミナカタ』神がやってきた、という点では一致している。
 しかし作中では、実はやってきたのは神奈子であり、
 この時諏訪を支配したとされる神(タケミナカタの事か)は支配の名目上必要になっただけの
 名前だけの神、とされている。
 つまり、神奈子の元ネタはタケミナカタ神である。

・名前の由来
 苗字は、タケミナカタ神の妻であり下社の祭神『ヤサカトメ』女神が元。
 『ヤサカトメ』は『八坂刀売』と書く。
 『八坂神社』とは関係無い。
 名前は、『神奈備【かんなび】』が元か。
 『神奈備』とは、岩や山を御神体として祀る信仰における、神が居る場所の事。
 もしくはその様な信仰の事。
 作中で神奈子も妖怪の山を御神体としていた。

・背中の注連縄
 『注連縄【しめなわ】』とは、主に宗教的聖地において、
 その場所を周囲の場所と区別するために付ける縄である。
 いわゆる『結界』の役目を成す。
 作中では、蛇を模したものだという説明がある。
 諏訪大社最大の祭『御柱祭』で御柱を引っ張る為に使用された曳き綱が『御柱御用』として、
 まるで蛇がとぐろを巻いているかのようにまとめられて大社に奉られているが、
 神主によればこれからの連想らしい。
 また、『茅の輪』を模しているという説。

・御柱
 諏訪大社の神事の一つである『式年造営御柱大祭』で用いられる木柱の事。
 詳しくは『スペルカード元ネタ&考察まとめ』内神祭「エクスパンデッド・オンバシラ」参照。
 風神録6面対神奈子時の背景の湖に立っているのもおそらくこれである。
 「エクスパンデッド・オンバシラ」後に神奈子は御柱を4本装備する。
 しかし全体的なV字形状を見ると、『目処梃子【メドテコ】』にも見える。

・湖
 神社と共にやってきた湖、という事だが、
 これは『諏訪湖』が元ネタ。

・背景
 スペルカード発動時の背景は、諏訪大社下社秋宮の神楽殿。


洩矢 諏訪子

・ミシャグジ様
 詳しくは『スペルカード元ネタ&考察まとめ』内崇符「ミシャグジさま」参照。
 作中では諏訪子は蛙の姿をした神とされているが、
 伝承によれば洩矢神は蛇の神だと言われている。
 蛙の神であると考えると、蛙は田の神の使いであるとする信仰があるので
 稲田の神、豊穣の神の性格も出てくる。

・名前の由来
 大和の神話の影響が諏訪に及ぶ以前から信仰があった『洩矢神』が元。
 また名前は、文字通り地名の『諏訪』から。
 『諏訪湖』を捩ったとも考えられる。

・服装
 日本の伝統芸能である『田楽』を舞う『田楽法師』の格好を元にしたのか?
 だとしたら、ますます田の神の傾向が強くなる。
 被っている帽子は『市女笠【いちめがさ】』か。
 また服の模様は、京都府高山寺所蔵の国宝『鳥獣人物戯画絵巻』の甲巻に描かれている蛙。

・背景
 服と同じく、京都府高山寺所蔵の国宝『鳥獣人物戯画絵巻』の甲巻に描かれている蛙。
 また、諏訪子の背後には大きな蛙のエフェクトが。

・『♪明日ハレの日、ケの昨日』
 『ハレ』と『ケ』とは、民俗学や文化人類学などの用語。
 『ハレ(晴れ)』とは儀礼や祭りなどの非日常≠指し、『ケ(褻)』とは日常≠指す。
 特別な行事が行われるハレの日≠ヘ重要視された。

・『♪ネイティブフェイス』
 直訳すると、「自然信仰」。
 自然物崇拝である諏訪の古代信仰を指していると思われる。


永江 衣玖

・地震の宏観前兆
 『宏観異常現象』といい、地震の前触れとして見られるとされる現象の事。
 電磁波が発生するなどの科学的っぽいものから、
 異常な天候が見られる、動物が異常行動を起こす、などの民間信仰レベルのものまで多数ある。

・『リュウグウノツカイ』
 魚類の一種で、アカマンボウ目リュウグウノツカイ科リュウグウノツカイ属の一種。
 大きいものは10メートル近いという、硬骨魚類中最大の全長を誇る深海魚。
 深海魚ゆえその姿を現すことは稀であり、その神秘的な外観も相まって、
 世界中の様々な伝説の生物のモデルと考えられている。
 今回は、地震の宏観異常現象『リュウグウノツカイが現れると地震が起こる』より登場した。


比那名居 天子

・名居の人
 三重県名張市に鎮座する『名居神社』、及び祀られている『ないの神』が元。
 「日本書記」にて、推古7年の大地震の際に諸国に地震の神が祭られ、
 三重県(伊賀)ではこの名居神社がそれであろうとされている。
 【なゐ】は地震の古語であるが、元々は大地を指す言葉で、「なゐ振り」で「大地が揺れる」という意味になる。
 よってその御利益は地震除けだろう。
 祭神は大己貴命、つまりオオクニヌシ神である。国津神の筆頭だ。
 如何にも大地の安全を頼める様な人選……もとい神選である。

・要石
 茨城県は鹿島神宮と千葉県は香取神宮に祀られている霊石。
 大地奥深くまで伸び、地中で地震を起こす大ナマズを押さえつけて、地震を抑えているという。
 押さえつけているとされているのは、鹿島神宮の祭神である鹿島神ことタケミカヅチ神。
 記紀にはその様な記述は無いのだが、タケミカヅチ神は対蝦夷の任を担う国防神であるから
 地震からも国土を守ってくれると信じられたのかもしれない。
 江戸時代の安政の大地震の際には、タケミカヅチ神がナマズを押さえつけている『鯰絵』が流行した。

・非想非非想天(有頂天)
  『非想非非想』とは、仏教世界観の内、
 天界である三界の中でも位の高い『無色界』の中でも
 さらに最上位の世界『有頂天』の別名である『非想非非想天(処)』の事。
 「想うに非ず、想わざるに非ず」という意味で、
 簡単に言えば「思わないということすら思わない」という究極に近い境地。

・「天地の道は極まれば則ち反り盈つれば則ち損ず」
 淮南子の言葉。
 頂上を極めても驕る事なく、いっそう慎重な処世が望まれる。
 逆にどん底に落ち込んでもけっして落胆する必要はない。あせらず騒がす、力を蓄えながら、時を待つことだ
 の意

・式年遷宮
 定期的に神社の社殿や鳥居などを建て替え、御神体を遷す行事のこと。
 特に、伊勢神宮の遷宮の事をこう呼ぶ。
 建物の耐久度の低い弥生様式の建築物であるために定期的に建て直すことや、
 建物の老朽化・汚れを穢れと見なすために定期的に清める意味で建て直すことなど理由は幾つかある。

・「貧しくても恨む無きは難し」
 直後に紫が返した「富みて奢る無きは易し」と対になる。
 論語での孔子の言葉。
 貧しくても他人をひがまないようにする事は難しい、の意。

・「花は半開を見て酒は微酔に呑む」
 菜根譚にある言葉。
 花を鑑賞するなら五分咲きの頃、酒を飲むならホロ酔い機嫌ぐらいが良い、の意。
 何事もほどほどに。


キスメ

・釣瓶落とし
 『釣瓶落とし』とは、日本の妖怪の一種。
 夜間、人間が木の下を通ると、
 人間の生首や釣瓶(井戸において水を汲み上げるのに使用する桶の事)や火の玉
 が突然落ちてきて、人間を驚かせたり襲ったりする。
 過去、東方project内にも名前が何度か登場していた。
 (『東方香霖堂』第15話及び第21話)
 鳥山石燕の『画図百鬼夜行』に『釣瓶火』として描かれる。

・『♪暗闇の風穴』
 パチュリーが言っていたが、洞窟の奥から風が吹いているのは
 内部に空洞がある証拠。
 「あの世は地下にある」ことと、「洞窟を通っていく」ことは
 日本の神話やギリシャ神話などにも共通する設定だ。


黒谷 ヤマメ

・土蜘蛛
 平安時代、武将・源頼光が退治したとされる蜘蛛の妖怪。
 元々は大和朝廷に恭順を表さない土着の豪族に対する蔑称だったが
 後に伝説となる過程で妖怪化された。
 伝説には諸説あるが、おおよその内容は
 「化けて出てきた妖怪を斬り、血痕の跡を辿ると、洞窟の中で大きな蜘蛛が死んでいた」
 というもの。
 鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』には
 「源頼光土蜘蛛を退治し給ひし事、児女のしる所也」と書かれている。

・名前の由来
 神主によれば、「八つ目」→「ヤツメ」→「ヤマメ」だという。
 蜘蛛の眼は8つあることから。


水橋 パルスィ

・橋姫
 固有名詞としての橋姫は、『宇治の橋姫』が元。
 嫉妬心に駆られ鬼神と化した女・橋姫は妬ましい女を殺した後も
 暴走し誰彼構わず憑り殺す妖怪となってしまったが、
 一条戻り橋において源頼光に返り討ちに遭い腕を斬られてしまった…という物。
 有名な『丑の刻参り』を行ったのも橋姫である。
 「嫉妬の鬼」として知られる。
 一般名詞としての橋姫は、河川に橋を架ける際に『人柱』とされた女性が
 死後に橋の守り神となった物。
 彼女が「地上世界と地下世界を繋ぐ縦穴の守り神」と説明されているのはこの為。
 また「あの世とこの世をつなぐ」と言われているのは
 実際に顕界と地獄を繋いでいる洞窟だということと、
 先の『一条戻り橋』自体があの世と繋がっているという伝説がある事による。
 鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』に描かれている『橋姫』は前者の橋姫。
 
・名前の由来
 ペルシャ(現在のイラン)を指す漢名『波斯【はし】』が元となり
 「橋」→「波斯」繋がりとなる。
 そしてペルシャの綴り「Persia」がパルスィの名前の由来。


星熊 勇儀

・名前の由来
 『大江山伝説』に登場する鬼の一人、『星熊童子』が元。
 酒呑童子(こっちは萃香の元ネタ)を筆頭にし、右腕の茨木童子、
 そして鬼の四天王として、熊童子、虎熊童子、金熊童子、星熊童子らがいたという。
 酒呑童子が元ネタである萃香が四天王の一人に数えられている事から、
 東方の妖怪の山の鬼組織は、大江山伝説の鬼組織と全く同じ構成ではないのだろう。
 
・スペルカード発動時背景
 東京国立博物館所蔵の『納戸地獅子模様厚板』の獅子の絵柄に酷似している。


古明地 さとり

・さとり
 妖怪『覚【さとり】』が元ネタ。
 飛騨美濃地方の山奥におり、人の心が読めるという。
 ただ、人に害をなさず、逆に害をなそうとしてもそれを察知して逃げてしまう。
 第三の目で心を読むという設定はある筈も無い。
 鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』に描かれる。

・灼熱地獄
 仏教の『八大地獄』の一つ『焦熱地獄(炎熱地獄)』が元か。
 火炎地獄ともいう。
 炎に焼かれ、釜茹でになり、熱した鉄板の上でサイコロステーキにされるという
 恐怖の地獄だ。
 しかもその次には『大焦熱地獄』なんてのもある。

・4面ステージ背景
 地霊殿の床にあるステンドグラスのデザインは、
 熊野本宮大社の神紋『あわせ巴烏【あわせともえからす】』。
 八咫烏繋がりだが、4面で6面のネタばれしているとは…。

・『♪ハートフェルトファンシー』
 heartfelt【心に感じる】 fancy【想像】の意か。
 曲コメントには【夢想的な嗜好】という意味で
 地霊殿をファンシーだと形容しているが、
 それとさとりの「相手の思っていることを読む」設定から
 【想像・心象】の意味を掛け合わせていると思われる。

・スペルカード発動時背景
 日本の伝統模様の一つ『麻葉』と思われる。


火焔猫 燐

・火車
 元々は仏教用語で、死んだ悪人を地獄に運ぶ燃える車のこと。
 それに、猫に対する迷信である
 「猫が魂を奪っていく」「猫が死体に取り憑く」ことや
 死体を喰う妖怪『魍魎』のイメージなどが習合して
 現在の『火車』のイメージが出来上がったものと思われる。
 鳥山石燕の『画図百鬼夜行』にも描かれるが、
 もはや車輪状のものは描かれていない。

・猫車
 一般に『手押し車』と呼ばれている運搬用台車の別称。
 そう呼ばれるようになった名前の由来は諸説ある。
 決してお燐と同じ運搬目的で使用しないように。

・スペルカード発動時背景
 禍々しく歪んではいるが、家紋の一つ『源氏車』。
 慧音と同じである。

・『♪廃獄ララバイ』
 【廃れた地獄の子守唄】とでも訳すか。
 忘れ去られた地獄の廃墟群は、吹き抜ける風音を
 自身の子守唄とし、静かに眠り続ける。

・『♪死体旅行 〜 Be of good cheer !』
 be of good cheer【希望あふれる】という意味らしいので、
 Be of good cheer ! 【希望にあふれろ!】という意味なのか?


霊烏路 空

・地獄鴉
 これといって元ネタは無い。
 地獄の責苦の中に、カラスに身体の肉を喰われるとか、そんなのがあるのか。
 灼熱地獄の火炎調整方法が地道にも燃料供給と酸素供給であることから、
 地獄鴉自体には火を操る能力は無いと思われる。

・八咫烏
 日本神話に伝わる神の使いである烏。
 三本脚であるとされている。
 神話においては、神武天皇の東征を助けるために遣わされた。
 また熊野大社の神の使いであるともされ、牛王宝印と呼ばれるお札には
 烏の集合でもって文字を表現した図案が描かれている。
 ただ、太陽と関係があるとされているのは
 中国に伝わる太陽に棲む烏『金烏【きんう】』である。
 これは、太陽の黒点を烏に見立てたものだという説がある。

・融合の足
 お空の右足のデザインは、『象の足』が元。
 深刻な放射能被害を起こしたロシアのチェルノブイリ原発のものが有名。
 溶けた核燃料とコンクリートが混ざり合った放射能融解物で、
 人間が即死するほどの放射能を発するという。
 決して彼女の足が象の様に太ましいという意味ではない。

・第三の足
 お空の右手のデザインは、原子炉の出力を制御する為の『制御棒』が元。
 中性子を吸収するようにできており、炉内の反応を抑えることができる。
 ただ、放っておくと反応が連鎖していく原子核分裂反応とは違い
 連鎖反応がない原子核融合反応に制御棒は必要あるのか。
 ちなみに、エンディングを見る限りでは、取り外しが可能のようだ。

・スペルカード発動時背景
 放射線が発生している場所を示す『放射能標識』が元。
 さらにその中に、『星雲』『猫』『半導体チップ(?)』の絵が見られる。
 それぞれ「とても大きいもの」「(生物として)通常サイズ」「とても小さいもの」
 の絵である。
 どのようなサイズであろうと、全てのものは原子で構成されている。
 そのような意味なのではないだろうか。

・二つ名の由来
 「熱かい悩む」は「あつかいなやむ」と読む。
 「熱かふ」とは「熱くて悩む」という意味で、
 日本書紀には「イザナミノミコト火の神カグツチを生まむとするときに
  熱かひなやむ」とある。
 また、「扱い悩む」を掛けたもの。

・『♪業火マントル』
 『業火』とは、地獄の火のこと。
 罪人の罪業に応じて、それに見合う火力でもって裁く。
 また、『マントル』とは、惑星や衛星などの内部構造を形成する層の一つ。
 星の中心に近いほど温度、密度ともに高くなるが
 マグマとは別物。

・『霊知の太陽信仰 〜 Nuclear Fusion』
 『霊知』とは、計り知れない程優れた不思議な知恵、の意。
 『太陽信仰』とは、世界各地に存在する太陽を神聖視する信仰形態のこと。
 太陽神が主神である宗教も多いが、主神が別に存在する宗教であっても
 太陽神は位の高い神として位置付けられており、
 単に太陽神が登場する神話という分類ならば
 世界中の殆どの神話がこれに該当する。
 高位の神が太陽を創造したとする宗教ももちろん存在するが、
 あのような神々しい光り輝く天体を創造するとは
 流石は神様。さぞ霊知をお持ちなのだろう。
 それは、核融合炉を創造しようとする科学者達が心より欲する
 超人的な知恵への畏敬である。


古明地 こいし

・名前の由来
 アニメ『ドラえもん』に登場する秘密道具の一つ『いしころぼうし』からか。
 着用者の存在感を道端に落ちている小石程度のレベルに下げる事で
 他人に気づかれ難くなるという道具。
 無意識を操る彼女も、誰にも気付かれずに存在する事が出来る。

・『♪ラストリモート』
 last 【続く】 remote 【隔たり】の意か。
 心が通じない様を表したのか?

・『♪ハルトマンの妖怪少女』
 ドイツの哲学者『エドアルト・フォン・ハルトマン』のこと。
 自ら「無意識者」と称する哲学を発表した。


森近 霖之助

・名前の由来は、「東方香霖堂」に詳しい。
 魔法の森≠フ近≠ュに店を構えていることから。

・週刊少年マガジンに掲載されていた漫画「MMR マガジンミステリー調査班」
 に登場するキバヤシのような自己完結論理思考の持ち主。


秘封倶楽部

・『♪夜のデンデラ野を逝く』『蓮台野』
 京都府と岩手県に、それぞれ「蓮台野」と呼ばれる場所がある。
 京都の蓮台野は、野辺送りの地(つまり墓地・火葬場)であり、
 岩手の蓮台野は、例の「遠野」にあり、その地方では訛って「デンデラノ」と呼ばれる
 姥捨て伝説がある地。
 メリーによれば、「蓮台野って墓地だったわね──」との事であるから、
 おそらく秘封倶楽部の二人が訪れた蓮台野は京都の方のものではないか。

・『卯酉東海道』
 十二支の「卯(兎)」と「酉(鳥)」。
 「子(鼠)」を北にして方角に十二支を当てた方角表記法では、
 「卯」が「東」、「酉」が「西」に当てられる。
 つまり「卯酉」は「東西」と同意語。

・『♪ヒロシゲ36号』
 ブックレット中にも出てきたが、江戸時代の浮世絵師「歌川広重」のこと。

・『♪53ミニッツの青い海』
 歌川広重の描いた浮世絵シリーズ「東海道五十三次」が元。
 東海道にあった53箇所の宿場町を描いたもの。
 メリーの言う「一分一泊ね。」とは、このことを言っている。

・『神亀』
 おそらく、日本の元号の一つ。奈良時代。

・『♪青木ヶ原の伝説』
 「青木ヶ原」とは、富士山北西に広がる原野。
 「青木ヶ原の樹海」として、自殺の名所と言う不名誉な人気がある場所である。

・『♪レトロスペクティブ京都』
 retrospective【回想の、回顧的な】の意。

・『♪最も澄みわたる空と海』
 曲名の中に、伝教大師「最澄」と弘法大師「空海」の漢字が含まれている。
 ブックレット中の
 「身は華と与に落ちぬれども、心は香と将に飛ぶ」
 とは空海の言ったとされる言葉で、
 「体は華が落ちるように地に落ちてしまうが心は香りが空中に漂うように飛んでいく」
 の意。
 リアルとヴァーチャルの問題について引用された。

・『大空魔術』のジャケット絵
 宇宙の誕生(ビックバン)時の急激な膨張の過程を説明した
 「インフレーション理論」の図が元。
 10のマイナス乗根の数字は、
 宇宙誕生の瞬間から、膨張の各過程に至るまでにかかった時間。

・『♪車椅子の未来宇宙』
 ブックレット中でも名前が出てきているが、
 車椅子の物理学者「スティーブン=ホーキング」氏。
 ちなみに「プランク」とは、量子物理学者「マックス=プランク」の事。
 永夜抄スペルプラクティスで永琳の「天文密葬法」ルナティックのコメントにも
 ホーキング氏が出て来ている。


マエリベリー ハーン

・八雲紫とも関連して、
 小説家「小泉八雲(ラフカディオ=ハーン)」が名前の元。

・アルファベット表記にすると「Muelberry Khan」らしい。
 何語だろう?


稗田 阿求

・作中で明かされている通り、古事記の編纂に携わった「稗田阿礼」が元ネタ。
 「阿礼」の礼≠0(ゼロ)≠フ意味に取り、
 「阿求」の求≠ヘ9≠セ。九代目を表す。決してHではない。

・『御阿礼の子』『阿礼乙女』『阿礼男』
 いずれも、京都は賀茂神社由来の名称。
 『アレヲトメ』『アレヲトコ』は神が降臨する依代(よりしろ)となる巫者を指す。
 特に『アレヲトメ』は『阿礼少女』と書き、賀茂神社に奉仕した『斎王』に由来する。
 また、賀茂社には非公開の神事『御阿礼神事』なる物もある。
 なお、賀茂社と稗田阿礼に関係は無く、
 『アレ』という言葉の意味・由来を介して説明が初めて付く様である。
 斎王∞阿礼少女∞アレヲトメ≠ネどのキーワードで調べれば
 詳しく説明されているサイト様が見付かります。


三月精

・『日』、『月』、『星』の三つの総称が『三精』らしい。
 同じ意味で『三辰』という言葉もある。


その他・総合

・「〜な程度の能力」という表現のしかたは、
 山田章博の作品「紅色魔術探偵団」に登場する小悪魔の説明文中の
 「”羽生やして飛び回るか、銃で撃たれても死なない程度”の魔力を有す。」
 からとっている?

・『妖々夢』のネーミングの由来は、
 清少納言作『枕草子』の『春はあけぼの』内の
 「春はあけぼの ようよう#窒ュなりゆく、」 (注:原文はやうやう=j
 から取っているという説。

・各作品毎に付けられている英語での副題は、
 森博嗣の作品タイトルによく付けられている英語での副題を
 真似しているという説。

・ZUN氏の画風は、漫画家・竹本泉のそれに影響を受けている様子である。
 特に旧作でその傾向が顕著に表れている。
 作風やセリフ回しも竹本泉の影響が見られる。

・『♪エニグマティクドール』 Enigmatic Doll
 音楽CD『蓬莱人形』より。
 enigmatic【不思議な、得体の知れない】人形、の意

・『♪サーカスレヴァリエ』 Circus Reverie
 音楽CD『蓬莱人形』より。
 サーカスのreverie【空想、幻想、夢想(曲)】

・『♪リーインカーネイション』 Reincarnation
 音楽CD『蓬莱人形』より。
 reincarnation 【転生、輪廻、生まれ変わり】

・『風神録』『地霊殿』の繋がり
 『風神録』で仏教『四大』のうちの『風』と『水』を、
 『地霊殿』では『地』と『火』をそれぞれモチーフにしているという説。
 では、『緋想天』は仏教『五大』の一つ『空』か?
 さらに、『六大』の一つ『識』が認識、つまり古明地こいしか?
 またさらに、『七大』の一つ『見』が古明地さとりか?


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